私の煙草ケースの中から看護士が慎重に15本だけ抜き取り、ビニールの袋に入れた。医師が指示した私の1日の煙草の本数。
「一本もらえますか?」
ナースステーションで煙草を一本だけ手渡される。
ナースステーションの横に紐でぶら下がってる使い捨てライターがある。火はここでつけて、喫煙所に移動するというルールのようだ。
安全性を考えてのことなのか。
ようやく見つけた喫煙所に腰をおろす。既に居た喫煙してない女性が不審そうにこちらを見る。あなた、煙草吸うの?何歳?
ロビーはにぎやかだった。
しかし退廃的な光景だ。汚れたテーブルやボロボロの椅子、隅で盛り上がっている麻雀の牌の音。フラフラ歩く人たち。

薬がまわってきたようだ。
ベッドに横たわる。それから長いまどろみが始まる。気がつけば、1週間くらい身動きがとれず、点滴を続けていた。2回気絶したのを覚えてる。
私の近くで何となく聞き取った声。
主治医の「ベッドコントロール」
女の悲鳴「キャアーー人が倒れてるーー!!」